ある夏の日の小さな誓い

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先日、栄養療法を実践されている方のお宅に招いていただきました。

その方のお住まいの近くであるイベントに一緒に参加させていただいて、せっかくなので寄らせていただいたのです。

 

まだ幼いお子さんもいて、ご本人曰く「汚くしている」とおっしゃっていましたが、まだ建てたばかりのマイホームだそうでお部屋も綺麗にされていました。

お庭もご自身で手入れされているそうで、様々な木、草花や野菜で彩られていました。

 

ここではAさんとしますね。Aさんはお子さん2人と旦那様と4人で東京都内にお住まいです。

 

Aさんとのおつき合いは、数年前に私が主催しているイベントに参加いただいたことから始まりました。私は、一般社団法人ファミリードというPTA保護者向け講座を支援する団体も運営していますが、その講座に参加してくださったのです。

 

どういう経緯かまでは覚えていませんが、以前に栄養療法を実践されたことがあるということで、お子さんの相談を受けました。

 

その際には、「上のお子さんがボーッとしていたり、下のお子さんの落ち着きのなさが気になっている」ということでした。

 

私はすぐさま「まずはお母さんであるAさんの栄養療法を始めてみませんか?」とお話ししました。その時は気づかなかったのですが、私の強目の口調に驚かれたそうです。

 

Aさんの体調も万全ではないと聞いて反射的にそう言いました。

確信を持って話す時はそうなるのでしょうか。

 

その時の私に後光というかそんなものまで見えたと言うので思わず笑ってしまいましたが、当時はすぐさま私の提案に同意してくださり、血液検査や医師のカウンセリングを受けられました。

 

食事を始めとした生活習慣の改善や高品質なサプリメントがその後の対策となりますが、経済的なことも考慮し少なめにサプリメントを飲み続けました。

 

それでも効果はしっかり感じられたそうで、その間お母様が急逝されるなど大変なこともありましたが、難なく乗り越えさらにいつの間にか仕事にも復帰されていたのです。

 

外出して人に会いに行くのも一時はつらいと話されていたのに、目の前で話すAさんはニコココしてそんな記憶もこれを書くまで思い出せなかったぐらいです。

 

 

最初は二人で話していたのですが、そのうち習い事を終えた子供たちと旦那様も帰ってきました。

 

ひとしきり挨拶を終えると、小学校高学年の男の子は、「お客さんが来ているから上で遊ぼう」と未就学の妹を誘いその気配りにまず驚きました。うちの中三の娘にできない芸当をサラリとされて思わず「かっこいい!」と囃し立ててしまいました。

 

妹さんも可愛らしく珍しいお客さんに絡みたいらしく、目の前でお絵描きが始まりました。以前は落ち着かないというお悩みを聞きましたが、元気いっぱいで人に迷惑をかけるような様子は全くみられません。

 

次はサッカーの練習の時間になったということで、やはりご主人が二人を連れて出かけて行きました。

なんて面倒見よく優しいご主人なのでしょう!(決して私の夫に嫌味を言っているわけではありません)

 

素敵なご家族とお会いして、私はなんという素晴らしいお仕事をさせてもらっているのだろうと実感しました。このご家族の幸せを少しだけでもお手伝いできたと思うと無類の喜びに浸れます。実はうるっとしていましたが、恥ずかしいので言葉にはできませんでした。

 

もしあのまま言われた通りお子さんにだけ注力していたら結果は違っていたかもしれません。

 

子供の成長は十人十色。

私も娘が小さい頃は「うちの子、他の子と違うのかしら」と悩む時期もあり、大きなこども病院に行って検査してもらったこともあります。

 

でも大概は個人差であって、病的なことであることは稀ではないでしょうか。

 

一方で、保護者、とりわけ出産という大仕事を終え、家事に育児に仕事に追われている母親がどれだけ疲労し身を削って不健康のまま過ごしているか、ご自身が無自覚であることが多いのです。

 

子どもにとって何よりも大事なことは、居心地の良い場所があること。

それは物理的に安全だとか清潔だとかというのも大事ですが、やはり自分を受け止めてくれる保護者が笑顔でいることに他なりません。

 

子どもは保護者の顔や行動をよく見ています。

そこに安心感を覚え、ご飯も美味しく食べられるのです。

好き嫌いなくご飯が美味しく食べられれば、大概のことは乗り越えていけますが、保護者が心身ともに健康でなければ良い食事も用意ができません。

 

そして、仕事やプライベートを楽しむ保護者を見て、初めて子どもたちは自分たちの明るい将来を描けるのです。明るい未来に視点を置いている人は少々のことがあっても倒れません。

 

母親という大黒柱を立て直すことで、家族みんなが良い方向に向かう。

今後もそのお手伝いをするため、栄養療法とファミリードの仕事に集中しようと誓いました。

 

Aさんの家の玄関を出る時にオリーブの木が立っていることに気づきました。

青い細長い葉の中に、一つだけオリーブの実が見えました。

根っからの食いしん坊なので、植物を見るとついついそこに目が行きます。

 

「オリーブ、一つだけ実をつけていますね」

 

Aさんも、サッカーの練習場に行こうと自転車に乗っていた子供達も、家族全員驚いたように戻ってきました。まったく気づいていなかったそうです。

 

帰りは近くにあるショッピングモールまで送ってもらい、一人ブラブラと歩き始めましたが、何を買うわけでもなく、どの店にも入る気になれず、私は「以前に家族と来た思い出を巡りたかっただけなのだ」と気づきました。

 

娘が小学生まではいろんなところに行きましたが、今は勉強と部活でスケジュールを合わせるのも容易なことではありません。

 

当面の間、孫は期待できそうにないので、栄養療法などの活動を通じて義理の子供や孫たちをたくさん作ろうと思います(笑)。


そこまでは期待するのは図々しいでしょうが、ご自身たちが気づいていない『オリーブの実』を見つけられるような、そんなお手伝いを続けられたら本望です。

 

 

 

 

 

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