年末年始は田舎の家族と過ごしたり、子どものお友達との遊びの場を設けたりと、なかなか自分の時間が取れず間が空いてしまいました。
本年もどうぞよろしくお願いしますm(__)m
さて、隙間の時間を縫ってこの本をサクっと目を通しました。
あるネット記事で『ビタミンEのサプリは偽薬より死亡率を4%高めた』という内容の本が出たと見かけたためです。
ビタミンEは『妊娠ビタミン』と言われるほど妊活中の方には重要な栄養素です。
また、LDLコレステロールの酸化度がどひゃーんと高い私にとっては、いつかはビタミンEのチカラを借りようと大量購入しているのです。
その真偽のほどを確かめなくては!と意気込みましたが、詳細は文献を参照するように書かれており、本を読んだだけでは手掛かりはつかめませんでした。しかも、ビタミンEだけでなくて、ビタミンC、ベータカロチンまで効果をまとめて否定されています。そこまでくると我々分子栄養学を学ぶ者と「効果」という定義さえ違うのかという気さえします。
ビタミンA、D、E、Kは脂溶性ビタミンに分類され、水溶性と異なり細胞内の核に直接入り込みます。
そのため、品質がよいことが絶対条件。できるだけ精製されていない、天然のものでないと効果は期待できません。
もっと平たくいうと、脂溶性ビタミンは特に品質がピンキリです。
胆汁が充分に出ていない人からすると脂溶性ビタミンは胃腸を素通りしていきますので、品質のよいものは吸収率が高いミセル化(乳化)されたものもあります。「揚げ物を食べると胃がもたれる」症状をもつ人はその可能性があります。
日本ではサプリメントは食品に過ぎませんので、有象無象の製品が山ほどあり、良質なもののほうが少ないのが実情です。その臨床試験は海外で行われたもののようなので、品質が原因でもなさそうですが・・・。
また、ちょっと気になったのが、本書では良い脂肪と悪い脂肪を分類されていますが、ω-6系脂肪酸が良いほうに入り、飽和脂肪酸が悪いほうに位置付けられているところです。確かに肉の脂肪などの飽和脂肪酸は摂り過ぎると弊害はありますが、体内で完全に代謝される飽和脂肪酸自体が否定される理由が掴めませんでした。
また、ω-6系脂肪酸は確かに健全な細胞膜を作るうえで不可欠ですが、現代人は揚げ物などからω-6系を摂り過ぎておりこれが炎症の原因となっているので、「ω-3系を増やしてω-6系を減らす」というトレンドに準じておいたほうが無難でしょう。
ω-3系にしてもω-6系にしても不飽和脂肪酸であり、酸化にとても弱いので無制限に摂取するものでもありません。
「炎症が老いを早める」、「食物繊維は摂るべき」というポイントは大いに賛成なので、食生活を見直したい方は参考になる部分が多いと思います。
何が正しくて何が間違っていると言われるかは時の流れで変わるものです。
新たな発見もあるし、環境も刻々と変われば人々のニーズも変わります。
ですから、自分が学んだ知識で凝り固まらずにアンテナを張って、自分の考えと照らし合わせて「あ、違う領域から見てもこれは正しかったんだ」とか「同じことを違う角度で見ているだけだ」とか「自分が信じていたことは間違っていたかもしれない」と鍛錬を重ねることが大事だと思っています。
情報に振り回されない知識と学ぶ姿勢をあらためて大切にしたいと願う年頭となりました。